「おとなは、だれも、はじめは子どもだった」――『星の王子さま』前書きより
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最近、筆者はずっと『星の王子さま』を読み返している。読めば読むほど、味わいが深くなる。
『星の王子さま』は大人に捧げた絵本と言われている。絵本とはいえ、子どもが読んでも理解できるとは限らない。人は大人になって、いろんなことを経験してようやく子どもの頃の純粋な心がどれだけ尊いものかを理解する。
例えば、「仲のよいあいてができると、ひとは、なにかしら泣きたくなるのかもしれない」。大人にならなければ、この言葉に込められた意味は恐らく分からない。
多くの大人は「別れ、喪失、すれ違い」を経験してようやくその意味をはっと理解する。サン=テグジュペリは分かりやすい言葉で、命の本質に関する大人向けの絵本を書いた。それが、『星の王子さま』が誕生以来、世界中の読者を魅了している理由でもある。
もしこの絵本の世界に行って、星の王子さまと同じことを経験できるとすれば、心から温もりを求める人ならそれを拒むことはないだろう。『星の王子さま』の世界はそれほど心が癒されるからだ。
命の純粋さを信じよう、その純粋な心を大切にしようと思わせてくれる。
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残念なことに、現実は絵本の世界と隔たりがある。絵本の世界にワープでもしない限り、一生をかけても『星の王子さま』の世界にたどり着くことはできない。
もちろん、例外もある。筆者の考えでは、その心癒される大人向け絵本の世界に近づく方法は世界に2つしかない。そのうちの一つは絵本の中にその純粋さを求める没入型の読書体験だ。
人気モバイルゲーム『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は9月19日、杭州市内の蝸牛図書館で『星の王子さま』とのコラボによる読者会を開催した。読書会では子どもだった過去の自分に宛てて手紙を書くなどの心温まる企画が催され、来館した『星の王子さま』のファンと『Sky 星を紡ぐ子どもたち』のファンが一緒になって自分に宛てた手紙を記し、両作品から受けた感動や癒しについて語った。
オンラインで寄せられたプレイヤーからのメッセージ
会場で手紙を記す様子
周佳駿氏による講演
質疑応答で発言する来場者
このようなユニークな交流会により、『星の王子さま』と『Sky 星を紡ぐ子どもたち』に込められた素敵なメッセージに心打たれたファンたちはついに仲間を見つけることができた。
「人はみな孤島だ」という人もいれば、「いや、誰かはきみのそばに寄り添ってくれる」という人もいる。この読書会に『星の王子さま』と同じく心癒される点があるとすれば、それは孤島同士を懸け橋でつないだことだ。
温もりが温もりを伝え、癒しが癒しを伝える。一人ひとりが『Sky 星を紡ぐ子どもたち』や『星の王子さま』から受けた感動を言葉にした。互いの交流、そして『Sky 星を紡ぐ子どもたち』という懸け橋によって、生活への希望がいっそう膨らんだ。
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読者会についてはこれぐらいにして、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』のシーズンイベント「星の王子さまの季節」にも触れておきたい。さきほど『星の王子さま』の世界に近づく方法は世界に2つしかないと言ったが、もう一つがつまりゲームだ。ゲームほど没入型体験をもたらしてくれるものはないだろう。
ゲームプロデューサーの陳星漢氏が言うように、「優れた芸術作品というのは、心理的な衝撃を受けるが、そこから内省し、成長を得られるものが多い」。こうした心の動きを重視する点はまさに『星の王子さま』シリーズの真髄であるし、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』の独特な考え方とも期せずして一致している。『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は子どもの頃に読んだ『星の王子さま』から一部インスピレーションを得ていると陳氏も早くに公表していた。
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』の「星の王子さまの季節」では全部で7つの季節のクエストがあり、それぞれにストーリーが用意されている。
クエストをクリアすると、プレイヤーは、透明なガラスケースに閉ざされた状態で王子さまの帰りを待つ「バラ」を目にすることになる。これは何とも奇妙な感覚だ。待ち続けているうちに、バラの花びらはひらひらと舞い落る。そんな姿にバラと王子さまの過ごした日々がふと目の前によみがえり、絵本から感じた温かい気持ちが再びこみ上げる。
一方、プレイヤーはクエストをクリアするために、王子さまと6つの星へ冒険に出かけたり、かくれんぼや楽園の島々の探索をしたりする。そうして寄り添う中で、深い絆を結ぶ。
王子さまに寄り添うプレイヤーとしての自分がゲーム内でどのような位置づけにあるのかを真面目に考えたとき、人生におけるたくさんの気づきを得ることができる。考えてみてほしい。王子さまのゲーム内での旅の目的が全てバラのそばに戻るためであったら、キツネを探すためであったら、王子さまのそばに寄り添っている自分はどんな役回りになるだろうか。友だち?仲間?それともクエストをクリアするためだけの通りすがりの他人?
ほかのゲームと比べると、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』はつねに異彩を放っている。ゲームの中で自分が主役ではないことを意識することが多いからだ。もちろん、これは肝心な点ではない。『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は終始、心の中の温もりと自己犠牲を呼びかける。きみは王子さまの何?重要な存在?と。旅の中で支え合う瞬間こそ、私たちの命の礼賛ではないだろうか。
『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は他人から得ることではなく、他人に捧げることを称えているのだ。
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『Sky 星を紡ぐ子どもたち』をプレイしていると、『星の王子さま』との共通点に気づく。それは単に視覚的な一致だけでなく、核心的な思想においても似通った点がある。
同じく旅であり、同じく旅の途中にさまざまな景色や出会いがあり、同じく孤独という人間の本質があり、そして最終的には心の絆を結ぶことができる。これが『星の王子さま』と『Sky 星を紡ぐ子どもたち』の最終的な意味であり、人の心を癒し感動させるゆえんだ。
また、優れたゲームというのは、遊んでいると、まるで優れた小説や映画作品を鑑賞しているような感覚になる。ポジティブなエネルギーに満ちあふれているのだ。『Sky 星を紡ぐ子どもたち』は斬新な方法で、普遍的な正しい価値観を伝えている。これはモバイルゲームにおいては極めて稀な例と言える。
今回のオフライン読書交流会も面白かった。ゲームがプレイヤーと絵本の読者をつなぐ懸け橋となり、プレイヤーは『星の王子さま』を通じて現実の仲間と出会うことができ、読者はゲームを通じて絵本の世界に浸ることができる。1つの文学作品には1000通りのハムレットが存在する。人々の想像は結局のところバラバラの断片的な世界にすぎない。しかし、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』はそうした断片をつなぎ合わせ、思考を結ぶ橋渡しとなって、美しい絵本の扉を開いてくれる。この読書交流会は『Sky 星を紡ぐ子どもたち』が贈る、愛と美しさで織りなす触れ合いの「冒険」と言える。この作品は温もりとは何か、癒しとは何か、人生とは何かを再確認するきっかけとなる。
読書会では、『星の王子さま』に心打たれるだけでなく、この世界には互いを支え合うポジティブな力に変えることができる心温まる物事がほかにもたくさんあることにふと気づいた。『Sky 星を紡ぐ子どもたち』もそうだし、読書会にいた一人ひとりもそうだ。
陳氏によると、「感情というのは解像度が高く、言葉はむしろそうした感覚を壊してしまうことが多い」という。一方、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』の世界に浸っていると、まるで長い国道を旅しているかのようだ。その先にある美しい景色も、耳元にそよぐ風も、静けさの中に癒しの香りが漂う。
それに何と言っても、この旅路には、王子さまと呼ばれる人がきみに寄り添っているのだから。
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