NetEase Gamesが開発・運営するモバイルゲーム『荒野行動』はこのほど、世界的ヒット作となった中国の人気SF小説『三体』との海外コラボを発表した。
今回のコラボでは『三体』で描かれるさまざまな名シーンが再現され、作中に登場する近未来感あふれるアイテムをゲーム内で使用することが可能。小説では文字から想像するしかなかった衣装や小物などを、実際に目に見え、扱えるアイテムとして楽しめるという。『荒野行動』は海外展開している中国モバイルゲームの傑作で、『三体』も中国SF小説の代表作だ。この両者のコラボによってどんな化学反応が生じるだろうか。コラボ情報が発表されると、海外の『三体』ファンや大勢のゲームファンからはすぐさま熱い視線が注がれた。
中国SF小説の代表格『三体』は中国的な視点を切り口として、豊かな想像力や幻想的で美しい世界観が評価され、SF界の最高賞とされる「ヒューゴー賞」を獲得した。日本でも発売後大きな反響を呼び、何度も重版されている。海外市場に深く根差した中国産ゲームである『荒野行動』はTwitterで最も影響力のあるゲームTOP10に2度ランクイン。数々の名作ゲームを生んでいる日本市場でも存在感を示し、ゲームカテゴリーではつねにトレンドの首位をキープしている。 今回中国SF小説をゲームに落とし込むにあたっては、『荒野行動』の双方向性を存分に生かして、『三体』の世界観をより想像性豊かなものにしている。
近年、SF文学はエンタメ消費の新たなブームとなっている。ゲームや映画・ドラマ、アニメ・漫画といった各種エンタメが盛り上がりを見せる中、SF文学もマルチメディアとかけ合わさることで、その世界観が目に見える具体的なものとして表現され、より親しみやすいものになっており、世界的にも身近な話題として取り上げられることが増えている。
今回のコラボでは、『荒野行動』はデジタル技術やマーケティング面での強みを生かし、『三体』の想像性豊かな内容を、シーンとして可視化した、体感できるものとして表現し、ゲームを通じて中国SFの創造力を海外ユーザーに伝える。これは『三体』の世界的な影響力をよりいっそう高め、イノベーションによって中国SF文学の進歩や進化を広く伝えることができ、中国SFの魅力を世界にアピールすることにもつながる。
知識や精神的価値を学ぶことができるSF小説と同じく、文化を伝える重要な媒体であるゲームについても、中国の文化発信における「窓口」としてのあり方がさまざまな角度から模索されている。eスポーツゲームとして日本でも高い知名度を誇る『荒野行動』では攻撃ヘリコプター「WZ-10」や国産武器95式小銃などがゲームに実装されており、こうした最新鋭の兵器から中国の国力の高さが感じ取れる。また、三国志のモチーフを取り入れ、現代において新たな命を吹き込むことで、それを象徴的な中国文化として世界に発信している。中国科学院と共同で打ち出した「荒野スペース」計画では、宇宙に関する知識を、楽しみながら学べるコンテンツとして扱い、中国の宇宙分野における成果に対する国内外の理解が深まるよう手助けしている。
将来の理想像や文化的な魅力が詰まったSF小説やゲームは人と人、文化と文化をつなぐ交流の懸け橋となっている。ゲームとSF小説が融合したとき、人々は想像の枠を越えて、果てしない宇宙に直接触れ、SFの世界に浸り、ゲームの世界で交流できるようになる。今後向上心をもって中国の多種多彩な面を世界に発信できる優秀な企業がますます増えることを願うばかりだ。